2015年01月25日
密漁の海で

古本を350円で買ったが3500円の価値はある名著。
根室の高潮のニュースから、昔、北海道一人旅で出会った根室の「特攻船」を思い出した。
調べてみたがやはりアウトローな世界なのか、WEB上では情報が見つからず、この本に辿り着いた。
前半はソ連に情報を提供する見返りに操業する「レポ船」の活躍に始まり、ベトナム戦争反戦兵士の亡命事件、そして完全にアウトローな「特攻船」に続く。
平和なはずの日本の国境でこんな事が繰り広げられていたのか!とにかくめちゃくちゃ面白い。
後半は歴代政権と外務省の対ソ政策からムネオスキャンダルが中心となり、既知の情報が増えてやや退屈。
2004年頃の発売なのでタイムリーな帯が付いているが、この本の価値は前半にあると思う。
レポ船も特攻船も明らかに密漁なのだが、魚が獲れればどこへでもリスクをおかして行った海洋民族のロマンを感じた。
2000年前には朝鮮半島との海峡は何国人でもない、海人が跋扈していた。人は食うために何だってする。日ソの法治が曖昧な海域で、やれることを全部やろうとした...
そして、現代の日本漁業がいかに遅れているか、斜陽産業になりつつあるかを憂う。
僕は漁民の民俗史として読んだが、北方領土論としても勉強になった。固有の領土とは何だろう?日本にとって最も緊張感の高い国境はここにある。
ロシアは近代になってから何度も戦争してきた相手であり世界屈指の強国であり、中国や北朝鮮とは次元が違うのだと改めて思う。
全編に渡りイデオロギー色が極力避けられ淡々とした記述が良い。文句無しに面白いノンフィクションで超お薦め。
なお、僕が見た1990年夏の特攻船は取り締まりの真っ最中で本当に最後の姿だったらしい。ある意味で歴史の証人になったのだ。













































