2018年07月14日
決勝前夜
これまでの試合を見れば、やはりフランスが圧倒的に優勢。グループリーグでゆっくりとスタートし、決勝Tに入ればアルゼンチンの急所を叩きつつ殴り合い、ウルグアイを完璧に抑え込み、攻撃力に勝るベルギーにはしたたかに守り勝った。クオリティの高い選手たちが、何パターンもの戦い方をこなしており、サブのレベルも高く、どこにも穴は見当たらない。今大会を象徴するような高度なチームだ。
しかしそれでも、クロアチアの健闘を祈りたい。1990年イタリア大会でストイコビッチのテクニックに魅せられた。トヨタカップを国立で観てサビチェビッチ率いるレッドスターベオグラードに度肝を抜かれた。優勝候補だった1992ユーロでは内戦の制裁により出場できず、国家は分裂。そしてJリーグでのピクシー劇場を何度も生観戦した。自分の中でユーゴ、クロアチアのファンタスティックなサッカーは特別だった。クロアチアは1998年W杯でドイツを破ってベスト3に入り、日本とも戦った。オシム、ハリルホジッチと旧ユーゴ人との関係も深い。
今大会のクロアチアはとても魅力的だ。そしてモドリッチがいる。ワールドカップのモドリッチはレアルマドリー以上に、チームのために全身全霊で戦う。連戦の疲労がある中で、ロシア戦、イングランド戦の終盤のプレーは魂を揺さぶった。激しいプレスを受けながら、全てのパスに絶妙な回転がかけられて、相手が奪えない位置に送られる。圧倒的運動量でボールを奪い、そして奪われない。全員がそのプレーに勇気付けられて戦い抜いた。モドリッチはこれまでに獲った全てのカップと交換してでも優勝したいと言う。
決勝では、世界最高のDMFカンテと天才ポグバが、モドリッチやラキティッチのすぐそばにいるだろう。グリーズマンが自由に効果的に動き、ジルーのポストとムバッペのマークも必要だ。まともに行けばクロアチアが勝つチャンスは少ないが、極端に守備的な戦い方はしないと思う。ビリッチ、ペリシッチのサイド勝負では互角。クラマリッチやブロゾビッチをどう使うか、守備陣がどこまで踏ん張れるか。コンディションと戦力的には1-4くらいのスコアも予想できるが、そこはワールドカップだ。互いに慎重な戦い方から、今大会の象徴であるカウンターとセットプレーが鍵になりそうだ。