2018年04月13日
2344の高域特性から考えるHPF
ドライバこそ違うが、自分の実測値でも概ねこのような特性になっている。1~5kHzの音圧が高く、5kHzからレベルダウンする。LE85の出力音圧レベルは公称値108dBだが、このホーンでは5kHz以上は98dB程度と言える。1~5kHzの盛り上がりを抑え込めれば、アッテネーションが小さくなり、相対的に高域レンジも伸ばすことができるはずだ。ネットワークの真実という記事も参考に、小容量のキャパシタで高めから落としてフラットにする手法を試してみた。
左:6.8μF 右:1.15μF (いずれも6dB/oct 軸上50cm)
このサイズのホーンのHPFとしては考えられないほどの小さなキャパシタを入れてみた。これは高域まで伸びたフルレンジにスーパーツイーターを乗せるときの手法なのだが、8kHz以下をレベルダウンさせ、相対的に高域を伸ばすことができている。聴感ではこのほうがずっとフラットで歪感、ピーク感、ホーンの癖が減り、綺麗な音になる。高域が伸びて、パラメトリックEQを使わなくても十分に聴ける。
10kHz以上をほとんど変えずに、5kHz以下を10dBほど落とせているので、アッテネーションも10dBほど小さくできる。テスト機のalpair10との2wayの場合、普通のHPFでは16~18dB落とさねばならないが、小さなキャパシタを使えば7~8dBで済む。 4430のように複雑な高域補正回路を組まなくても、小さなキャパシタ1個の6dB/octでこのように補正出来てしまうのは、目からウロコだった。ユニットの周波数特性とインピーダンス特性を畳み込んだ、超シンプルネットワーク。これまで長いことオーディオやってきたのに!
なお、10kHz以上はマイクの特性もあるのか、聴感ではこれほど落ちてはいない。
※追記:外付けマイクが認識されず、iPad内蔵マイクで測定していたようだ。マイク特性に加え、端末の位置が軸上から外れているので高域が落ちてしまった模様...orz
左:0.47μF 右:0.1μF (いずれも軸上50cm)
さらにキャパシタを小さくしていく。
0.47μFまで下げても聴感で違和感はなく、小さくするほどフラットに感じられる。それほどに2344ホーンの特性はカマボコ型なのだ。試しに0.1μFにしてみると、全体的に大きくレベルダウンしてしまったが、それでも1kHzまでしっかり出ており、6dB/octのHPFでは容易にカットできないことがわかる。
いろいろ聴いていると、どうやら0.47~1.0μFあたりにスイートスポットがありそうだ。小容量のキャパシタを組み合わせて切替式にしても面白い。そして重要なことに気づいた。テスト機のalpair10に対して7~8dB下げてバランスするということは、D123との組み合わせではアッテネータ不要かもしれない。これは音質上、大きなメリットになる。高能率のコンプレッションドライバーをアッテネータ無しで使えるなら夢のような話である。あとはD123の高域をどうするか。定位感や繊細さを出すなら大きめのコイルでカットし、スピード感や鮮度優先ならスルーもありかもしれない。