2016年07月11日
EURO2016決勝
いやーハイレベルでドラマティックな素晴らしい試合だった。たまたまスポナビライブの放送でフランスとポルトガル戦が多かったため、両チームともに予備知識と思い入れがあったせいもある。
大きく速く上手い選手が超モダンな連携サッカーを繰り広げるフランス、しぶとく守ってロナウドの一発に賭けるポルトガルという予想通りの展開、のはずだった。ところが開始18分ほどでパイエのタックルを受けて負傷、グラウンドに崩れて涙を流すロナウド。一旦はテーピングして戻ったがやはりダメで、25分過ぎに涙の交代。このときのロナウドの顔は忘れられない。今大会は主将としてチームを引っ張ってきただけに、どれほど悔しかったことだろう。しかしポルトガルは明らかにここから結束が高まり、守備の集中とカウンターの鋭さが増していった。延長に入るとロナウドはテクニカルエリアで監督さながらに檄を飛ばし士気を鼓舞した。そして延長後半にエデルのスーパーゴールが飛び出し、ロナウドはまた涙する...
内容的には、明らかにフランスのほうが攻撃的でモダンなサッカーをしていた。ドイツに高い個人技をプラスしたようなチームだ。特にグリーズマンのフリーになる動きとボールタッチの正確さ、シソコの破壊的なドリブルは見応えがあった。惜しむらくはあれほど攻撃力の高いポグバがもう少し前でプレー出来なかったのかな、と思った。ポルトガルは監督の采配が素晴らしかった。大黒柱ロナウドの負傷という不測の事態に対応しチームを落ち着かせ、交代カードも見事だった。レナト・サンチェスを替えるのはどうか?と思ったがエデルは強い体でポストをこなして流れを変え、最後は自ら決めてみせた。ぺぺらDF陣の奮闘も凄まじく、最後まで脚が止まらなかった。
今大会のうち10試合ほどを見て、欧州各国の個人、戦術レベルの高さを感じた。 体の強さ、走る速さと距離、キック力、判断の速さ、陣形のコンパクトさ、勝利への執念。さらにスタジアムやレフェリー、観客、メディアの質。どれをとっても、ある意味ではW杯を上回るハイレベルなものだ。いつも欧州リーグで戦っているライバル同士で歴史的な関係もあるから、国を背負って戦うモチベーションも凄い。残念ながらアジアや日本とは、誰が見ても「別のスポーツ」に見えるくらい差がある。鑑賞に耐えるサッカーとはこういうものなのだと改めて感じた。 →EURO2016 フランスvsポルトガル ハイライト