2014年12月16日
上原善広さん

名作中の名作、大宅賞受賞作「日本の路地を旅する」以来の大ファン。地道な取材を少しでも支えたいとの思いから僕には珍しく全て新品(またはkindle版)を購入している。最新作「石の虚塔」は僕の趣味のど真ん中直撃で素晴らしかった。考古学をここまで面白く書けるのは彼しかいない。いきなりあの捏造事件の張本人のインタビューから始まって度肝をぬかれるが、多くの登場人物を丹念に調べ上げ、戦後日本考古学会の光と闇を克明に描き切っている。ものすごい臨場感だが単にセンセーショナルで興味本位な内容ではない。上原さんの眼差しはいつも淡々とニュートラルに人の内面に向かう。少し感傷的な読後感が心地よい。次作も期待してます!!