2009年06月11日
スピーカーのS/N
あれもこれも追い込みでアトリエ泊が増えてきた...
息抜きにオーディオ与太話でも。
増幅器ではなく、パッシブな変換器でありフィルタでもあるのがスピーカー。
オーディオ雑誌などで目にする「S/N」という表現には疑問を持っていたのだが...
今回の増改築では、それを実感せざるを得なくなった。
これまでに作ったどのスピーカーよりも、圧倒的に静かなのである。
このエンクロージャーは、暗い過去(?)を背負っている。
<新築時>
フロントホーン・バッフル/後面開放の”バタフライ”として誕生。
当初のユニットは現在も使っているフィリップス・アルニコ。 ユニット直接支持の実験も行った。
後にJBL2220Hに換装し、ホーンドライバーを乗せることになる。
バッフル効果が明らかに感じられ、「面」で押し出してくる中低域の圧力が凄かった。
しかし余計な音も凄かった...箱鳴き、バッフル鳴き、ホーン鳴き、そして後面反射音の影響だろう。
素材は赤松集成材t=19mm。 ここ数年はこればかり使っている。
ラワン、シナ合板は叩くとプラスティックの音がするが、集成材は木材の音がする。
合板は接着剤の量がずっと多く、強力にダンプされているから違って当然だ。
集成材は軽快で心地よい響きだが、方向性があり強度を得にくいので補強が大切。
<第1期リフォーム>
外観と羽根の拡がりが嫌われ、外形を大幅に縮小。
どうせならと思い、昔から興味のあったオンケン・バスレフ化を行った。
低域はバスレフのイメージとは少し違う、たっぷりとして軽快なものであった。
オンケン・バスレフ化によってフレームでガッチリ包み込む構造になり、エンクロージャーの強度は飛躍的に高まった。
しかしフロントホーンの共鳴とバッフル鳴きのせいか? 中低域の響きに悩まされ、ネットワークやイコライジングによる格闘が続いた。
最終的にはラインアレイ・ミッドバスタワーを含む4wayまで行った。
欠点をカバーするためにあれこれ加えて、どんどん複雑化していった。
<第2期リフォーム>
ここで心機一転、フルレンジへ回帰。
まずは問題のフロントホーンを塞ぐ!
交換可能なバッフルを30mmの松集成材で製作し、開口に頑強なフレームを組んで補強。
工作としてはわずかな作業量だったが、結果は驚くべきものであった。
自分でも信じられないほど簡単に、シングルコーン1発で理想に近い音が得られたのである。
(低域の変化は置いておいて) とにかく静かで、正確に鳴る。
ウッドベースもピアノもボーカルも、付帯音が少なく透明感がある。
小音量でも細部が聴き取りやすく、大音量でも崩れにくい。
定位が良く、こもらずスッキリと伸びて、ライブな部屋の悪影響があまり感じられない。
とても年代物のフルレンジユニットとは思えない。 ようやく市販スピーカーと比較できる品位が出てきた。
これはたぶん、エンクロージャーの発するノイズが少ないのだと直感した。
「スピーカーのS/N比」というコトバを使いたくなる、そんな変化であった。
理由は何だろう?
エンクロージャーの強度だろうか?
比重の小さい赤松集成材で、板厚も19mmと厚くはない。 昔は21mmシナ合板でもっと重量級を作ったこともある。
しかし重い材料は慣性が大きく共振が残りやすいという考え方もある。
軽い板材をフレームで徹底補強した構造が良かったのだろうか。 30mmのバッフルも効いているかもしれない。
内容積が増えた影響もあるように思う。
55リットルの密閉箱と比べても音の透明感が違う。
内部の表面積が大きいほど吸音効率が良く、コーンを漏れて出てくる背面音が減衰しやすい。
エンクロージャーが大きく、一次反射が遅れると聴感への影響が少ないのかもしれない。
自作スピーカーの欠点は、エンクロージャーの設計ミスや工作精度不足による箱鳴きではないだろうか。
特に工作の難しい長岡系BHなどは付帯音が強く感じられる。
それを楽器として楽しむのも良いが、心地よい響きを創り出すのは頑丈な箱を作るより難しい。
優れたスピーカーユニットは、驚くような潜在能力を秘めている。
分割振動の歪みと思いこんでいた癖が、実はエンクロージャーの影響かもしれない。
一連のリフォームを通じて、S/Nの良い、静かなエンクロージャーを作ればユニットは歌うのだと強く感じた。
息抜きにオーディオ与太話でも。
増幅器ではなく、パッシブな変換器でありフィルタでもあるのがスピーカー。
オーディオ雑誌などで目にする「S/N」という表現には疑問を持っていたのだが...
今回の増改築では、それを実感せざるを得なくなった。
これまでに作ったどのスピーカーよりも、圧倒的に静かなのである。
このエンクロージャーは、暗い過去(?)を背負っている。
<新築時>
フロントホーン・バッフル/後面開放の”バタフライ”として誕生。
当初のユニットは現在も使っているフィリップス・アルニコ。 ユニット直接支持の実験も行った。
後にJBL2220Hに換装し、ホーンドライバーを乗せることになる。
バッフル効果が明らかに感じられ、「面」で押し出してくる中低域の圧力が凄かった。
しかし余計な音も凄かった...箱鳴き、バッフル鳴き、ホーン鳴き、そして後面反射音の影響だろう。
素材は赤松集成材t=19mm。 ここ数年はこればかり使っている。
ラワン、シナ合板は叩くとプラスティックの音がするが、集成材は木材の音がする。
合板は接着剤の量がずっと多く、強力にダンプされているから違って当然だ。
集成材は軽快で心地よい響きだが、方向性があり強度を得にくいので補強が大切。
<第1期リフォーム>
外観と羽根の拡がりが嫌われ、外形を大幅に縮小。
どうせならと思い、昔から興味のあったオンケン・バスレフ化を行った。
低域はバスレフのイメージとは少し違う、たっぷりとして軽快なものであった。
オンケン・バスレフ化によってフレームでガッチリ包み込む構造になり、エンクロージャーの強度は飛躍的に高まった。
しかしフロントホーンの共鳴とバッフル鳴きのせいか? 中低域の響きに悩まされ、ネットワークやイコライジングによる格闘が続いた。
最終的にはラインアレイ・ミッドバスタワーを含む4wayまで行った。
欠点をカバーするためにあれこれ加えて、どんどん複雑化していった。
<第2期リフォーム>
ここで心機一転、フルレンジへ回帰。
まずは問題のフロントホーンを塞ぐ!
交換可能なバッフルを30mmの松集成材で製作し、開口に頑強なフレームを組んで補強。
工作としてはわずかな作業量だったが、結果は驚くべきものであった。
自分でも信じられないほど簡単に、シングルコーン1発で理想に近い音が得られたのである。
(低域の変化は置いておいて) とにかく静かで、正確に鳴る。
ウッドベースもピアノもボーカルも、付帯音が少なく透明感がある。
小音量でも細部が聴き取りやすく、大音量でも崩れにくい。
定位が良く、こもらずスッキリと伸びて、ライブな部屋の悪影響があまり感じられない。
とても年代物のフルレンジユニットとは思えない。 ようやく市販スピーカーと比較できる品位が出てきた。
これはたぶん、エンクロージャーの発するノイズが少ないのだと直感した。
「スピーカーのS/N比」というコトバを使いたくなる、そんな変化であった。
理由は何だろう?
エンクロージャーの強度だろうか?
比重の小さい赤松集成材で、板厚も19mmと厚くはない。 昔は21mmシナ合板でもっと重量級を作ったこともある。
しかし重い材料は慣性が大きく共振が残りやすいという考え方もある。
軽い板材をフレームで徹底補強した構造が良かったのだろうか。 30mmのバッフルも効いているかもしれない。
内容積が増えた影響もあるように思う。
55リットルの密閉箱と比べても音の透明感が違う。
内部の表面積が大きいほど吸音効率が良く、コーンを漏れて出てくる背面音が減衰しやすい。
エンクロージャーが大きく、一次反射が遅れると聴感への影響が少ないのかもしれない。
自作スピーカーの欠点は、エンクロージャーの設計ミスや工作精度不足による箱鳴きではないだろうか。
特に工作の難しい長岡系BHなどは付帯音が強く感じられる。
それを楽器として楽しむのも良いが、心地よい響きを創り出すのは頑丈な箱を作るより難しい。
優れたスピーカーユニットは、驚くような潜在能力を秘めている。
分割振動の歪みと思いこんでいた癖が、実はエンクロージャーの影響かもしれない。
一連のリフォームを通じて、S/Nの良い、静かなエンクロージャーを作ればユニットは歌うのだと強く感じた。
コメント一覧
4. Posted by Roberto 2009年06月12日 04:47
でくのさん
そうですね、やはり素人が良い音を出すには箱を大きくするのが近道かも(笑
でも、でくのさんの陶芸スピーカーはそのまま行って欲しいですね?
>小型だと、色んなところから、色んな音が漏れ出してきます^^;w
やはり密閉化してサブウーハーですよ(笑
そうですね、やはり素人が良い音を出すには箱を大きくするのが近道かも(笑
でも、でくのさんの陶芸スピーカーはそのまま行って欲しいですね?
>小型だと、色んなところから、色んな音が漏れ出してきます^^;w
やはり密閉化してサブウーハーですよ(笑
3. Posted by でくの 2009年06月11日 21:42
箱の強度、バッフル面の強度、市販品には無いような頑丈さですよね?
いつも、ユニットの音だけ響くように、システムを考えていますが、、、、、、。
なかなかうまく行きませんね^^;
小型だと、色んなところから、色んな音が漏れ出してきます^^;w
私が思う良い音は、ユニットの音以外ほとんど発生しないシステムです。
やはり、理想は、巨大密閉箱ですよね?
いつも、ユニットの音だけ響くように、システムを考えていますが、、、、、、。
なかなかうまく行きませんね^^;
小型だと、色んなところから、色んな音が漏れ出してきます^^;w
私が思う良い音は、ユニットの音以外ほとんど発生しないシステムです。
やはり、理想は、巨大密閉箱ですよね?
2. Posted by Roberto 2009年06月11日 11:53
igaさん
そうですね、僕も巨大なダブル・バスレフを何度か作ったことがあります。
いずれも普通のバスレフの2?3倍の容積で、驚異的な低域レンジと静かな鳴り方が特徴でした。
低域に関してはゆったりゆっくりしており、密閉とは正反対かもしれません。
しかし中低域の自然さ、中域のS/Nの良さは大型密閉と似てますよね。
やはり背面の音を効率よく殺しているからだと思います。
igaさんの新作も期待していますよ?{笑顔}
そうですね、僕も巨大なダブル・バスレフを何度か作ったことがあります。
いずれも普通のバスレフの2?3倍の容積で、驚異的な低域レンジと静かな鳴り方が特徴でした。
低域に関してはゆったりゆっくりしており、密閉とは正反対かもしれません。
しかし中低域の自然さ、中域のS/Nの良さは大型密閉と似てますよね。
やはり背面の音を効率よく殺しているからだと思います。
igaさんの新作も期待していますよ?{笑顔}
1. Posted by iga 2009年06月11日 11:45
SADB1の製作過程で、小型バスレフ、中型バスレフと試作したでありますが、小型でも中型でもそれだけを聞けばそれなりにいい音でありました。ところが、55cm高の大型に組んだとき、それまでとは別次元の静けさに感動したであります。わずか8cmのユニットに過容積と思える大きさが最大の成功要因だと感じたでありまする。「何十万の有名システムよりDB1のほうがいい音がする」というご感想をいくつも頂いたでありますが、最大要因は高S/N比、過大容積だと思っておりまする?