2025年04月08日
35mmF1.4というレンズ

EF35mm F1.4LⅡUSM
35mmF1.4は、自分にとって標準レンズだった。広角でありながら被写界深度が浅く、視線が客観的かつ印象的という他に類を見ない独特な表現力をもつ。
以下に、これまでに使用した35mmF1.4レンズの印象について書いてみようと思う。
Nikon Ai-S Nikkor35mm F1.4
35mmF1.4の魅力を知ったレンズ。一眼レフ用としては最も小型軽量で、フィルター径52mmは現代のレンズも見習ってほしい。
開放の柔らかさとボケ感が印象的。F2でも変わり、F2.8に絞ると像が締まる。歪曲収差は大きめ。
フィルム時代には画質に不足を感じなかったが、今の基準では解像感が低く色収差も大きいと思われる。
Leica Summilux35mm F1.4 ASPH
フィルム時代にも使っていたが、デジタル化してからFLEバージョンを再購入。
独特のボケと合焦部のキレが織りなす立体感は素晴らしく、ズミクロンF2とのたった1絞りの差は大きかった。
フリンジと歪曲収差は多少あり、開放でのピント歩留まりと寄れないことはレンジファインダー機共通の弱点。
写りからすれば驚異的にコンパクトであり、ライカM-P typ240との組み合わせは手放すべきではなかったと今も少し後悔がある。
COSINA Nokton Classic 35mm F1.4Ⅱ MC VM
一度手放したデジタルライカに復帰したとき、これが最も安く買える35mmF1.4だった。
デザインは球面Summiluxに似ているが、フォーカシングや絞りの操作感はコシナクオリティで価格相応。
中央部は開放からそこそこ解像する。像面湾曲のためか周辺の甘さも合わさってボケ感は独特。発色は少しノスタルジック。
写りも球面Summiluxに似た個性的なレンズで、使いどころは限られるかもしれない。
Canon EF35mm F1.4L II USM
いまココ。大口径広角レンズの難題である軸上色収差を解決した究極のレンズを、ぜひ一度試してみたかった。
写りはきわめて優秀で、確かに色収差は少なく解像度が高くボケも美しい。28cmまで寄れてAFも速い。
問題は解像度の高さから目立つ極薄ピントの歩留まりと(上の写真も微妙にピンぼけ)、760gの重量とサイズに耐えられるかどうか。
他の35mmF1.4と違って開放から収差が少ないため、うまく使いこなせば何でも撮れる万能標準レンズとなるだろう。
(番外編)
FUJIFILM XF23mm F1.4 R LM WR
APS-C用レンズであり、画角と被写界深度は35mmF2相当となる。
色収差もほとんどなく、解像感はきわめて高い。上記レンズの中ではEF35mmF1.4LⅢに似た描写が得られる。ミラーレスカメラの恩恵により顔認識や瞳認識が使えることも大きい。
接写能力も高く欠点が少ないレンズだが、やはり1段の差はあり、X-Tシリーズではややフロントヘヴィで大きく感じられた。
七工匠 7artisans 25mm F0.95
APS-C用レンズであり、画角と被写界深度は37.5mmF1.37相当となる。
大きくて重さもあり、同社の35mm F0.95が優秀だったので期待したが、収差が多くオールドレンズ以下の描写。短期間でディスコンになったのも当然か。
PLAUBEL Makina670 Nikkor 80mmF2.8
6×7判カメラに固定されたレンズであり、画角と被写界深度は38mmF1.4相当となる。
フィルム時代に最も愛したカメラのひとつであり、絞れば超精細で、開けば35mmF1.4的な柔らかい表現ができた。
最高の立体感が出せる準広角として、個人的にベンチマークとなるレンズだ。
GFX100RFはマキナの後継機として使えそうだが、得られるのはマキナでF8以上に絞ったときの描写だけである。むしろGF55mmF1.7(43mmF1.34相当)のほうが近いかもしれない。