2024年08月31日
第二種電気工事士試験 (技能編)
戦いのあと...
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第二種電気工事士試験の合格率をざっくりいえば、学科70%×技能70%≒50%です。つまり受験者の半分は受かるわけで、そう難しい試験ではありません。
しかし、技能試験はひとつでもミスをすれば不合格になるので、学科よりもリスキーで一発勝負感があります。こんなに失格事項があるのに本当に7割も受かるの?おそらく、冷やかしで受ける人がいないのだろうと思います。
もちろん、安全に施工するためには基本技能の習得は必須。過去問の丸暗記ではなく、ちゃんと応用できるように練習したいものです。
ここでは、技能試験で1000%合格するために自分が行った準備やおすすめの方法について簡単に解説します。
<試験内容>
事前に13種類の回路(単線図)が公開されます。接続器具や電線の長さなどの詳細な施工条件は当日までわかりませんが、毎年ほとんど同じ。
本番の時間は40分。時間配分のイメージとしては、複線図5分、機器接続15〜20分、結線5分、見直し10分〜が目安。
<工具>
バラバラに購入しても良いですが、一から揃えるならホーザンのセットが確実。DIY程度ならそのまま使用できます。試験問題と要点をまとめたテキストも付いてます。
ホーザン(HOZAN) 電気工事士技能試験工具セット 基本工具一式+P-958VVFストリッパー+候補問題全13問の解説動画付ハンドブック DK-28
あと、追加で手袋を買いましょう。作業効率が向上し、怪我の予防にもなります。
実際の工事に使う場合は電工用手袋が必要ですが、試験用は指先が動かしやすく滑りにくいものであれば何でも良いです。
指先がゴム素材で、素手に近い感触の薄手がおすすめ。検索や撮影のためスマホ対応ならベスト。
<材料>
パーツは種類が多すぎて、バラ購入は面倒で抜けもあり得るので、やはりホーザンのセットが安心。
自分は個別基礎練習+試験問題を通しで2回練習。以下の「1回用」を購入して、VVFケーブルとリングスリーブを買い足しました。
ホーザン(HOZAN) 令和6年 第二種電気工事士技能試験 練習用部材 DK-51 1回用 ハンドブック付
①複線図の練習
まずは学科でも学んだ複線図を練習します。公開されている単線図から、各5分以内に正確な複線図に起こせるように。配線の原理をきちんと理解すること。丸暗記は危険です。
自分は通しで2回やって、たとえ全く違う応用問題でもスラスラ描けるようにしました。工事現場監理でも、頭の中で描き始めてしまいそうです笑
復習や応用も含めて2〜3時間くらい。学科で複線図問題を捨てていた人は理解から始めて6時間以上かかるかも。
②基礎練習(ケーブル処理)
いきなり試験問題ではなく、まずは基礎練習を!(実務で慣れている人はもちろん不要) Youtubeに多くの解説チャンネルがあります。
シース剥き、心線出し、のの字輪づくり、スリーブ圧着といったケーブルの処理練習を繰り返します。
剥いて、曲げて、切って…これを数cmずつ繰り返していけば、少しのケーブルでたくさん練習できます。今、電線はやたら高価なので…(数年前の2〜3倍!)
全問に出てくる「のの字輪作り」が苦手な人が多いようです。自分はVVFストリッパー先で2本同時に挟んで曲げる方法で、最初からうまくできました。
個人的に怖かったのはシース剥きの際の被覆の傷。心線が見えたら1発アウト!場所によっては復旧不可能なので!
ちなみにVVR(丸線)のシース剥きは、スピーカーケーブルでの経験が生きています笑
③基礎練習(機器の接続)
ランプレセプタクル、引っ掛けシーリング、コンセント、スイッチ、端子板など、全ての器具への接続を練習。これも失格事項を確認しながら、ノーミスになるよう練習します。
基礎練習は数日に分けて合計5時間くらい徹底的にやりたい。自分はYoutubeでいろんな人の流儀を見て試して、自分なりの方法を固めました。
何より大切なのは、失格事項となるようなミスを絶対にしないことです。時間よりも確実性を優先しましょう。
④過去問を練習
基礎練習で失敗しない自信がついたら、いよいよ本番対策。時間を測り、本番と同じ条件でタイムアタック!
公開問題13問×2回やりましょう。所要時間と仕上がりの写真、ミスしたポイントを記録しておきます。
1回目と2回目を比べれば、明らかな上達と時間短縮がわかるはず。見直し時間を10分取れるように!
手順は人それぞれですが、スイッチなどの各機器を接続→電線カット、を繰り返し→配線済みの機器を並べる→複線図を再確認しながら電線同士を中央で結線する、という方法が間違いがないと思います。
過去問は復習と準備片付けを含めて1時間×13回×2≒26時間。
試験直前には複線図をざっと見直し、基礎練習を少し。技能試験の練習は、約3週間で合計40時間ほどやりました。
本番までの日数を意識しながら心身を電気漬けにしてコンディションを上げていく、勉強というよりスポーツの試合に向けたトレーニング感覚かな?
アウトレットボックスと配管は実践的で楽しかった!金属配管やってみたい!けど試験には出ませんでした...
ついでに?試験とは直接関係ない電気関係の資料を読み漁り、実務で「それなりに」経験していたことを体系的に学ぶ良い機会になりました。
自分は建築科の前に機械科を出て、一応は電気工学も履修しているのですが、建築設計者とはゼネラリストなのだなあと実感。
個人的に役立ったのは3路や4路スイッチ。階段や廊下などで使われる、複数の位置から入り切りできる配線です。設計実務で原理は知っていても、複線図と接続を学ぶと色々見えてきます。
職人さんの気持ちがわかりすぎても問題ですが…ここ3路にしてね!みたいに現場で安易な変更はせず、事前にしっかり打合せして決めておくのが基本。
13問中12問にランプレセプタクルがあるのは解せないが、引っ掛けシーリングはDIYでも多用しそう。
現場での結線はボックスコネクタが一般的だと思いますが、リンクスリーブの圧着もやってみると確実性があって悪くない。
スピーカーネットワークの結線もスリーブ+半田付け併用にしたらいいかも。
ついでに言えば、屋内配線仕様を考えたら、オーディオで電源ケーブルやプラグに凝るのは、自己満足の世界だろうな…
もうひとつ思うのは、将来の変更やDIYを考えたら、電気配線を隠蔽しない設計がベターではないかと。アトリエは全部露出しているので、やり甲斐がある!美しい配管は芸術的ですしね。
ちなみに、配線だけでなく配管も、資格が無ければできません。
照明、スイッチやコンセントのDIY工事はすぐにでもやりたいですが、子ブレーカーから幹線側は怖い。
知識だけはあっても、実際の施工は経験者に教わらないと危険でしょうね...日々こんな重責を負っている職人さんを尊敬します。
試験会場では、高校生からかなり年配の方まで幅広い受験生がいて、女性もちらほら。広い空間で大人数が無言でガチャガチャ作業する、独特な光景でした。
さて、結果通知書が届いたので、早速免状を申請。2週間〜かかるようです。
ここまでかかったコストは、受験料、テキスト、工具、材料、免状申請料を合わせて約5万円。
安くはないですが、国家試験としてはお得かも?実際にDIYをすればすぐに元が取れるはず?!
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