2024年05月22日
EOS6Dのダイナミックレンジ
EOS6D EF50mmF1.8STM
一眼レフ全盛期の2012年当時、キヤノン機のダイナミックレンジは他社よりも狭いと言われていた。
海外のレビューサイトでは様々なデータを見つけることができる。JPEGのベタ塗り的な絵作りに加えて、センサー性能の評価もEOSを避けていた理由のひとつだった。
EOS6DのRAWデータをLightroomで現像してみると、確かにハイライトの飛びは早めのようだが、シャドウは十分粘るしノイズ浮きも目立たない。
これはかなりの露出アンダーになってしまった失敗例で、左(上)が補正後、右(下)がストレート現像。
RAW現像で露出を+1.7段、ハイライト-100、シャドウ+80、黒レベル-30、少しのNRをかけて補正をしているが、破綻は感じられない。
RAWデータは14bitの階調を持っており、JPEGで表現できるのは所詮8bitだから、ほとんどのカメラのセンサーは実用上十分な性能があるといえる。
EOS6Dのダイナミックレンジは狭いのかもしれないが、それが写真のアウトプットにあらわれることはほとんどない。
EOS6Dはカメラ標準プロファイルで色補正がほとんど要らず、ほぼハイライト・シャドウの階調補正だけで思い通りの画像が得られる。
好みに合うというだけかもしれないが、眼が見たまま、脳が感じたままに撮れる。ある意味でiPhoneに近い使い勝手の良さがある。
ニコンD780はLrで読み込むと色の偏りが強く、adobeで適当なプロファイルを探してカラーミキサーを弄る必要があった。
フジのカメラは良くも悪くもフィルムシミュレーションに依存し、ハマれば良いがニュートラルにすることは意外と難しかった。
ライカM typ240系は重厚で雰囲気のある色と階調が得られるが、AWB精度が高くないのでひと手間かかる。M10-Pは発色がややピーキーで使いづらかった。
センサーの小さいオリンパスOM-1は無難で実用上問題ない画質とはいえ、趣味で使うには描写の硬さが気になってくる。
いろいろなカメラを使って、今の自分にハマったのがまさかの!オールドEOSの画質だった。
センサーのわずかな性能差よりも、RAWのメタデータに入っているカラーセッティングが好みに合っているかどうかが重要なのかもしれない。
現時点で最高のセンサーを積んだGFX100Sを2年使ってみて、無限とも思える階調復元力と、どこまでも写っている精細さを体験した。確かに凄いが、その性能が生きる場面は限られた。
Lightroomのような優秀な汎用アプリがあれば、カメラ内蔵のエンジンとソフトウェアに頼る必要はなく、センサーは素材と考えることができる。
2012年頃以降のカメラであればセンサー性能は十分なので、好みで選んでいい時代だと思う。
問題は、数値的なスペックとは違って、好みに合うかどうかは使ってみなければわからないことだ。