2023年03月20日
不完全なカメラ
X-T5 XF23mmF1.4WR
X-T5は素晴らしいカメラだった。
片手で被写体に向けて適当にレリーズするだけで、カメラが自動的に判別して人や犬の瞳にピントが合い、手ブレもなく、露出補正さえほとんど不要。
シャッター音はほとんど聞こえず、レスポンスが速く次々と撮れて、EVFも背面液晶も高性能なので撮る前に仕上がりが見えている。
画質も完璧だ。Dレンジが広く低ノイズなので後処理の自由度も高く、隅々まで精細なレンズ性能と40MPの高画素によって大胆なトリミングもできる。
もう何もいらない!となるはずだった。
X-T5 XF23mmF1.4WR
これは凄い!究極の進化!と初めは感動していたが、どうもしっくり来ないというか、トキメキがない。撮っているのは自分ではなくカメラではないか?
X-T3やE4はまだ不完全な部分を残していたが、X-T5は完璧な性能に達し、アナログ操作を不要にしてしまった。
瞳AFはOFFにもできるし、フォーカスも露出設定もマニュアルモードがあるが、使う気が起きない。AT車のパドルシフトを使わないのと同じか。
アナログレコードは面倒な儀式を強制されるから良いのであって、デジタル音源にスクラッチノイズを加えても楽しめない。
X-T5の撮り心地はiPhoneに似ていた。失敗がない。失敗することができない。スペックを追えばここに行き着く。カメラが自動化するほどスマートフォンに近づいていくのだろう。
僕は簡単には写らないカメラ、面倒なカメラ、色々なことを自分で決めるカメラが好きなのだ。X-T5を使って、はっきりとそう思った。
Leica M Typ262 OptonZonnar50mmF1.5 AmedeoMuscelliAdapter
ライカMTyp262がX-T5より優れている点はほとんどない。しかしX-T5にない大切なものを持っている。
ライカで撮ることは、全責任を人がもつことだ。趣味だから失敗をおそれることはない。