2020年12月16日
WARM AUDIO BUS-COMP コンプレッサー導入

泥をくらわば皿まで...
実は10年以上前にもコンプレッサーに興味を持って、導入寸前まで行っていた。
この曲はコンプ掛けすぎで潰れてるとか、リマスターで音圧上がって聴きやすくなったとか言うが、コンプレッサーとは何か?
スレッショルド、アタック、リリースとい ったコンプの仕組みやパラメータもひと通り勉強はしたけれど、操作経験はなかった。
コンプレッサーはレベリングアンプとも呼ばれ、レコーディングで使われるものだ。 生音のダイナミックレンジは広すぎてメディアに収まらないし、楽器によっても差があるので、ピークを抑えて音圧を揃える必要がある。
各楽器のマイク直後、いくつかの楽器をまとめたミックスバス、最終ステレオミックスに掛けたりする。実際のレコーディングでは、何重にもコンプレッションして整えられる。
JPOPなどでは、音圧を上げ(揃え)すぎて波形が一直線になり、平板なサウンドになってしまっている音源も多い。
逆にストレート録音を信条とする生録CDを聴いたことがあるが、聴きづらい、つまらない音だった。レコーディングにおいてコンプの使い方は鍵なのだと思う。

ではコンプレッサーをオーディオ・リスニングに使う意味はあるのか?
正直に言えば、コンプとはどんな風に効くのか、圧縮とは何かを知りたかった。とにかく一度使ってみたかった。オーディオに効果があるかどうかは二の次だ。
出来上がったソフトのダイナミックレンジを落とすのはハイファイに反する?その通りだ。音源が理想的に完成され、それを十分発揮できる音量で聴くことができれば。
実際には、音圧不足で聴きづらいソフト、迫力不足の楽曲も少なくない。特に小音量時には平均音圧を上げることで聴きやすくなる可能性があるのではないか。
コンプレッサーにも色々ある。オーディオで使うならステレオ・バス・コンプレッサーと呼ばれるタイプが向いている。
バスコンプは音楽をまとめるということで、グルー(接着剤)とも呼ばれるそうだ。最終2ミックスにも使われるので、リスニングで通してもおかしくはない。
圧縮を行う回路はVCA、FET、OPTなどがあり、それぞれ特徴がある。コンプは時間軸の制御を行うので、回路、素子によって効果や音質は大きく変わるようだ。

様々な機器を検討した結果、WARM AUDIO BUS COMPを選択。
ミキシングコンソールに使われるSSLタイプと呼ばれるもので、その中で比較的安価なこと、TUBE EQを使ってみてWARM AUDIOの品質に信頼を置いていることが決め手だ。
効果が自然なVCA回路で、スレテオ操作ができて、低域の影響を除外できるHPF機能もある。1Uサイズで場所も取らない。
セッティングは、コンプのスレッショルドがEQのブースト影響を受けないよう、DAC→コンプ→EQ→ATT→アンプの順に入れる。

さて実際に使ってみて、オーディオリスニングにコンプレッサーはありなのか? 答えは今のところ、「あり」だ。
操作と効果は一通り覚えた。スレッショルドを慎重に設定し、アタックを遅く、レシオを低く、HPFも使用し、つまり最も控えめに、数dBのリダクションを掛ける。
特に小音量時に迫力と厚み、輝きが増す。音量が同じでも、音の隙間が埋まる感じというか、バイパスすると寂しく感じられる。通すことによる音質劣化はほぼ感じない。
効果はもちろん曲によって差がある。音圧の高いソフトや大音量時は不要なはずだが、不思議と心地良いエフェクト感がある。
EQもコンプも簡単にバイパスできるが、結局は全部通して聴くことがほとんどだ。
思い切って深く掛けてみると、ピークを歪ませずに抑える効果を実感できる。なるほどJPOPはこうやって潰しまくっているんだなあというのがよくわかる。
内蔵トランスを通すスイッチも効く。通すことで音が太く、力強く、メリハリがつく。TUBE EQもそうだがWARM AUDIOのトランス品質は良さそうだ。
PULTEC EQのように必須ということはないけれど、制作現場をイメージし、コンプの機能を理解できることも良かった。邪道なれど楽しいエフェクター行脚は続く^ ^;