2020年07月20日
バスレフダクト延長

ステージモニター4726A用の2344カスタムバージョン。
ウーハー2206Hに合わせて下端が欠き取られ、ホーン開口裏側に2個のダクトが取り付けられている。
ステージモニター用として、バッフル面積を極小化するためであろう。
JBL4312サイズに2206Hと2344を搭載するにはこのカスタムユニットしかない。単品で見つけられたのは幸運だった。

ダクトは僅か6cmしかない。このまま計算するとfd=64Hzになる。4726Aは容積が一回り小さいのでさらに上がることになる。
PA用ならこれで良いのだろうが、HiFiオーディオ用としては高すぎる。低域にピークができてしまい、レンジは狭くなる。
そのため、片側のダクトを吸音材で塞ぐか(fd=47Hzに下がる)、両方塞いで密閉化して使っていた。
片側ダクトでは癖が多少減るが、若干のブーミーさは残り、EQもしづらい。
密閉型としてEQで強めにブーストするとタイトに引き締まって具合が良いが、やや大人しく、物足りなさも感じていた。

そこでダクトを延長。
改造と言っても塩ビパイプ(VU50φ)に隙間テープを貼ってギュッと差し込んだだけなので、いつでも変更・調整できる。
約22cmに延長し、直径も10%ほど絞られて、計算上は fd=34Hzまで下がる。吸音材は密閉型同様にたっぷり入れる。
ちなみに2206Hをこのエンクロージャーに入れるとf0c≒80Hzとなるので、常識よりかなり低いチューニングだ。
自分はこのようなダンプト・バスレフの手法をよく採用する。
ユニットのf0cよりかなり低いチューニングとすることで、バスレフ臭さを減らし、密閉型とも違う鳴りっぷりの良さが得られることが多い。
低域の音圧は低下するのでEQが必要になることもあるが、fdの肩によって密閉型よりブースト量は小さくでき、普通のバスレフのように膨らむこともない。
例えば8cmフルレンジのFE83solはfs=135Hzと高いが、ダクトをfd=45Hzとし、EQやトーンコントロールで中低域をブーストすることで好結果を得ている。 →記事
これを完全密閉にするとクリアだけれど禁欲的になりすぎ、低域の量感もブーストでは追いつかない。


左(上):延長前のダクト開口部 右(下):延長後のダクト開口部 (赤線がピークホールド)
低域の音圧は低下しているが、ダクト共振の山が小さくなり、低い方に移動していることがわかる。
1kHz以上の漏れも減っているようだ。長いダクトがローパスフィルタとして働くことが考えられる。

パワーアンプのDSP-EQで微調整し、ウーハー直前30cmで測定。
最低域までよく伸びて素直な特性になっている。クロスオーバーは1kHz・48dB/octとしている。
当然だが音は変わった。密閉型よりも低域が深く沈み込み、瞬発力やスピード感が増す。
ダクトを半分塞ぐよりもスッキリして、中音域もクリアになったように感じられる。 しばらくこれでやってみよう!