2020年06月24日
オリンパス、カメラを含む映像事業をJIPへ譲渡へ
OLYMPUS E-3 ZD7-14mm/f4
オリンパス、カメラを含む映像事業をJIPへ譲渡へ
自分にとってオリンパスはライカと並んで特別なメーカーだった。楽しむライカ、働くオリンパスというイメージだ。フィルム時代に愛用したOMシリーズは、個性と使いやすさのバランスが絶妙だった。デジタル化してからはフォーサーズシステムが仕事を支えてくれた。初代E-1のバランス感は今でもベスト・オブ・デジタル一眼レフだと思っている。理念に反してE-3で大型化したところで一度つまづいた。マイクロフォーサーズでミラーレスというパンドラの箱を開けコモディティ化を進めた結果、システムカメラとしては中途半端な存在となり、スマートフォンとの競争に破れた。
ユーザーはオリンパスに何を求めていたか。その製品の造りの小気味良さに反して、オリンパスの経営・企画判断は鈍重でチグハグな印象があった。オリンパスらしさを活かして巻き返すチャンスは何度もあったような気がして、ファンとして悔しさが残る。例えばシグマfpのようなカメラは、オリンパスが10年前に実現できたと思える。フルサイズへの転換が難しかったなら、小さなセンサーの汎用性を活かして動画や産業分野をより開拓できなかったか。フォーサーズの防水タフカメラやアクションカムはなぜ出せなかったのか。
映像事業の見通しは厳しいが、新しい血が入ることで本来の技術力とブランド価値を取り戻すことを期待したい。オリンパスの名をただ残すのではなく、切れ味のあるプロダクトの象徴であってほしい。